アルツハイマー病の治療 common illnesses and causes
アルツハイマー病
2021年6月に世界で初めてアルツハイマー病の病理に作用する治療薬が米国で承認されました。我が国でも承認に向けて審査中であり、近い将来には治療薬として使用できるものと期待されています。しかしながら現在の治療は認知症の症状を緩和し異常 な行動を抑えて患者さんの生活の質を改善することに焦点を当てています。具体的には、記憶力の低下を改善させること、不安や焦燥感を鎮めること、昼間は起きて過ごし夜間は良く 眠れるようにすることなどを行います。また、アルツハイマー病の治療は薬物とケアを組み 合わせて行いますが、軽症の場合と中等症から重症の場合とでは治療内容が異なります。
薬物治療
- 薬物とケアを組み合わせて行います。
- 軽傷と中等度から高度で治療内容が異なります。
アリセプト
アルツハイマー病ではアセチルコリンという神経伝達物質が低下しており、それが認知障害を引き起こしています。アリセプトはアセチルコリンの量を増やす薬です。軽度から高度 までのアルツハイマー病患者さんで認知障害の改善や認知機能の維持がみられます。
イクセロン・リバスタッチ
アリセプトと同じように、アセチルコリンの量を増やす貼り薬です。貼り薬にすることで、嘔 気・嘔吐などの消化器系の副作用が少なくなり、24時間一定の薬理作用が期待される薬です。
メマリー
記憶や学習に関与する脳のグルタミン酸受容体のサブタイプであるNMDA受容体に結合することで、過剰な活性化を抑制し、神経細胞保護作用、記憶学習機能障害抑制作用を示す薬です。
周辺症状に対する治療薬
周辺症状に対する治療薬として、抗精神病薬は攻撃性、妄想、幻覚を抑える薬です。副作用として筋肉のこわばり、振戦、動作緩慢(動作がゆっくりとなること)がみられることがあります。抗不安薬では不安・緊張・焦燥感を緩和する薬です。副作用として眠気、めまい、もの忘れの悪化がみられることがあります。
認知症の予防について dementias
認知症になりにくい生活習慣
アルツハイマー型認知症の発症には生活を取り巻く環境の影響が大きく関わっている事がわかってきました。
脳の状態を良好に保つ為には、食習慣、運動習慣、対人接触、知的行動習慣を意識した日々を過ごす事が重要だと言われています。
食習慣では、野菜果物(ビタミンC,E、βカロチン)、魚(DHA、EPA)赤ワイン(ポリフェノール)を摂取、運動習慣では週3日以常の有酸素運動、対人接触では人とよくおつきあいをする、知的行動習慣では文章を書く、読む、ゲームをする、博物館に行く、睡眠習慣では30分未満の昼寝、起床後2時間以内に太陽の光を浴びる、といった事に意識した生活習慣を行う事でアルツハイマー型認知症の予防に効果があるとされています。
認知症予防とトレーニング
生活習慣とは別で脳機能を集中的に鍛える事が発症を遅らせる為に効果的な方法である事がわかってきました。 認知症という病気に至る前の段階でエピソード記憶、注意分割機能、計画力の認知機能の低下がみられます。
これらの機能を鍛える事により、認知機能の低下を予防します。
エピソード記憶は2、3日遅れの日記をつける、家計簿を思い出してつける。注意分割機能は料理を作るときに何品か同時進行で作る、人と話す時に相手の表情や気持ちに注意して話す、計画力は効率の良い買い物の計画を立てる、頭を使うゲーム、囲碁、将棋、麻雀等をする。