認知症の予防

長生きするだけでなく、最後まで自分の足で歩き、人と会話を楽しみ、自分の人生を自分で決める。そのためには、身体の健康だけでなく、脳の健康を守ることが重要です。そして近年、認知症は「年を取れば誰でもなる病気」ではなく、生活習慣や身体の健康を改善することで、発症を遅らせたり、リスクを低下させたりできる部分があることが分かってきました。

ではどうすれば認知症のリスクを減らせるのかをわかりやすく解説します。

まず、認知症は正常な老化ではありません

年齢は認知症の最大の危険因子ですが、「年を取ること」と「認知症になること」は同じではありません。80歳、90歳になっても、記憶や判断力を保ちながら生活している人はたくさんいます。

特にアルツハイマー病では、物忘れなどの症状が現れる何年も前から、脳内にアミロイドβやタウなどの変化が始まっています。そのため、認知症予防は「物忘れが始まってから」ではなく、まだ元気な時期から脳を守るという発想が重要です。

そこで認知症の予防のために、今日から自分でできることを紹介していきます。

1.「身体に良いこと」は「脳にも良い」

認知症のリスクを低下させるために勧められていることの多くは、心臓病や脳卒中を予防する方法とほぼ同じです。

運動する。健康的な食事をする。血圧、血糖、コレステロールを管理する。禁煙する。飲酒を控える。十分な睡眠をとる。人との交流を保つ。そして聴力を大切にする。

つまり、身体全体を健康に保つことが、結果として脳を守るのです。

特に重要なのが血管です。高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などが長く続くと、脳の細い血管にも障害が蓄積します。大きな脳梗塞を起こさなくても、小さな血管の障害が積み重なることで、認知機能の低下につながることがあります。

したがって、血圧や血糖、コレステロールを適切に管理することは、心臓や血管を守るだけでなく、脳を守ることでもあるのです。

 

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2.運動は「脳のアンチエイジング」

運動によって筋力や心肺機能が維持され、血圧、血糖、体重などの改善が期待できます。さらに、身体活動は脳の血流や神経機能にも良い影響を与えます。

歩く、少し速く歩く、階段を使う、庭仕事をするなど、日常生活の中で身体を動かすことから始めればよいです。

運動は筋肉のアンチエイジングであると同時に、脳のアンチエイジングでもあります。

 

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3.健康な食生活

認知症予防のための「魔法の食品」はありません。野菜、果物、魚、豆類などを取り入れ、塩分、糖分、脂肪の摂りすぎを避け、適正体重を維持する。こうした健康的な食生活が、結果として脳の健康にもつながります。

 

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4.知的活動、人とのつながり

読書、将棋、楽器、語学など、頭を使う活動も大切です。しかし、それと同じくらい重要なのが人との交流です。

友人と話す、家族と食事をする、趣味の集まりに参加する、旅行する。こうした活動では、相手の話を聞き、考え、言葉を選び、状況を判断するなど、多くの脳機能を同時に使います。

「人と会うこと」そのものが、非常に複雑な脳のトレーニングになっているのです。

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5.「耳」は大切

近年、認知症との関連で注目されているのが難聴です。「テレビの音が大きくなった」「会話が聞き取りにくい」と感じたら、一度聴力を調べてみましょう。

聞こえにくくなると会話や社会参加が減る可能性があります。補聴器などで対応できる難聴を放置しないことも、脳の健康を考えるうえで大切です。

 

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6.質の良い睡眠

睡眠も重要です。睡眠は単なる休息ではなく、脳の機能を整える時間でもあります。激しいいびきや日中の強い眠気がある場合には、睡眠時無呼吸症候群などが隠れていないか調べることも必要です。

 

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「若返る」のではなく「老化をゆっくりにする」

認知症を完全に予防する方法はまだありません。年齢や遺伝など、自分では変えられない要因もあります。

しかし、私たち自身で変えられる部分があります。

歩く。食べ過ぎない。血圧や血糖を管理する。禁煙する。よく眠る。耳を大切にする。人と会う。そして、新しいことに挑戦する。

どれも特別なことではありません。しかし、こうした習慣を何年も積み重ねることが、健康な老化につながります。

年齢を重ねても、身体と脳の機能が低下するスピードをできるだけゆっくりにすること。

70歳になっても歩ける。80歳になっても旅行を楽しめる。人と話し、笑い、自分の人生を自分で決められる。

それこそが、健康寿命を延ばすということであり、認知症予防の本当の目標でしょう。